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ドラゴンクエスト4のクリフト×アリーナ(クリアリ)を中心とした二次創作サイトです。

saintheim はじめに…はじめて訪問された方は御一読下さい。



saintheim News 

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■新着エントリー
  →これより以前のお話は「過去の更新情報08年~18年~)」内に掲載しております。

 ・03-12  ※災いが落とす影 5
 ・03-15  ※人心を得るのは 1
 ・03-17  ※人心を得るのは その2
 ・03-19  ※人心を得るのは その3
 ・03-21  ※人心を得るのは その4

■06/26、中編「教父VS貴族院長」、カテゴリ「父と母の祈念」内にて完結しました。
■02/14、「徒然vol.226」UPしました(バックナンバーは→コチラです)。

■02/09、2017年4月~のコメント返しを(それ以前はコチラより)させて戴いております。


saintheim Novel…長編・中編・短編等。

《 Long Piece 》…本編。クリアリ中心の長編物語。

《 Short Story & Short Novel 》…本編に添った、時系列毎の中編&短編集。

《 Spin-off 》…本編に登場する脇役を主人公とした物語。

《 Extra 》…本編とは違う設定のクリアリ長編&中編&短編集。

《 Project 》…他サイトの管理人様と企画して行った、コラボ作品。


saintheim Baton …フリーバトンや相互サイト様から回ってきたバトンに答えています。
 

saintheim Others …ドラクエ4以外のお話。
 

saintheim A play diary …DS版・ドラクエ4の攻略日記。


saintheim Illustration collection …イラスト。偶にフリイラも配布中。


saintheim Presents …個人的に戴いた物(フリイラ含)、差し上げた物。
人心を得るのは その4
次の日の朝。旅装束に身を固めるアリーナの姿を見たクリフトは顔色を変えた。
「何処へ…?」
「心配しないで、午後からの予算案までには戻るわ」
「まさか…、テンペに?」
アリーナの手には瞬間移動魔法ルーラの力が封じられた道具『キメラの翼』が握られている。この道具があれば、色々と制約はあるものの、魔法が使えないアリーナでも一瞬の内に様々な場所に行く事が出来る。
「私が出来る事はしておきたいから」
笑うアリーナの腕を掴むとクリフトは睨んだ。
「行かせる訳には参りません。病に罹ったらどうするのです!」
「……パリス様もテンペにいらっしゃるわ。それに偶々女性が最初の辺りで罹っただけで、現在は男女問わず罹患するそうじゃない。…私も力になりたいの。私がこの国の為に出来る事は、もう…それ位しか無いもの」
「アリーナ…」
この人は生まれながらの王なのだと改めて認識させられる。クリフトは諦めと感嘆の混じる息を吐く。
「…偉大なる我等の英雄王。貴女は何時でも自らが動き、道を示してこられた」
だからこそ自分はこの人に忠誠を誓った。
この人の生き方に魅せられた。
この人と共に居たいと望んだ。
私は、昔も。今も。
「私はただ貴女のお供をするだけです」


…これで隔離政策を安心して行える。
パリスは領主館から運ばれる物資を見つめながら息を吐いた。
後は原因を究明するだけ。その為の材料は揃えたのだ、必ず感染源は特定できる筈。
「…嗚呼、パリス様。パリス教父様」
名を呼ばれたパリスは振り返ると皺だらけの手を取った。伸びた髪や髭は真っ白で、初老の域に入っているように見える。が、もしかしたら同じ位の歳だろうか?その瞳の輝きは見た目ほど老いていない。
「何でしょう?私は既に教父の位から退いておりますので、教父と呼ばれるのは困るのですが」
「教父では無い?」
男は戸惑った声を上げる。
「ええ、退位を可能とする法案が昨年可決されたのです」
「あの子が望んだのか?」
「…え?あの子、とは…?」
誰の事を言っている?パリスが尋ねようとした時、声を掛けられた男は振り返った。
「白いお髭のお父様!」
駆け寄る子供達を抱き締めながら男は微笑む。
「おお、迎えに来てくれたのか、我が子達」
「お父様、教父様には会えたの?」
真っ直ぐな瞳の子供達に「白いお髭のお父様」と呼ばれた男は困ったように頭を横に振った。
「此方の方だったのだが…、もう退位されたそうだ。私が居なくなってもお前達を守って頂けるようお願いしたかったのだが」
「お父様…」
子供達の表情が曇る。自分達が守られないという事よりも父と呼ぶこの老人を失う可能性に心を痛めた事は初対面のパリスの目にも明らかだった。
「何かお困りなのでしょうか?宜しければ私から現在の教父へはお伝え出来ると思いますが」
「本当ですか?…私は……、テンペに身寄りの無い子を引き取る孤児院を作っているのです。ですが、私は」
男は言い淀む。パリスは男の顔を観察した。
乾燥した肌、異常なほどに痩せ、落ち窪みかけている瞳。
まさか。初老に見えたのは。脱水症状が進んでいるから…?
「…既に病に罹患しているのですね、あなたは」
パリスの言葉に白いお髭のお父様は小さく瞳を揺らす。
「罹患者は…私だけでは無い」
「!」
パリスは男の陰に隠れている小さな子供の肩を掴み、食い入るように見つめた。
男よりも落ち窪んだ瞳を不安そうに揺らしながら、痩せた身体を怯える様に震えさせている。
間違い無く、この子も罹患している。
「数日前から嘔吐と下痢を起こしております…。この子はまだ元気な方でして」
恐らく。パリスは瞳を眇めた。孤児院の子供達全員、罹患者。
「私はこの子達を守らなければならない。もう奪ってはならない。私はあの子からもう何も奪ってはならない……」
譫言のように呟く白いお髭のお父様の肩をパリスは揺する。
「急いで孤児院へ案内して下さい。子供達も…あなたも。治療を受けなければならない」


・・・「人心を得るのは 5」に続きます。


人心を得るのは その3
本日の会議閉会後、アリーナはクリフトと中庭の椅子に腰かけていた。
春の穏やかな空気は閉鎖的な空間にあったアリーナの心を浄化する。これがひと月も続くかと思えば直ぐに気が滅入るのだが。
「大会議はやっぱり緊張するわね」
背伸びをするアリーナをクリフトは憂鬱そうな表情で眺めている。
「……申し訳ありませんでした。貴女を守れなかった」
「……。貴方が謝る事なんてないわ。予知夢が視れないのは…本当だもの」
アリーナは微笑むと険しい表情のまま俯くクリフトの手に自身の手をそっと重ねた。
「怒ってくれて、嬉しかった」
「アリーナ……」
その笑顔に曇りが無い事を確認したクリフトは、漸く何時ものように優しい表情に変わる。
「貴女は立派な王です。危機に直面したサントハイムを救ったのは、紛れも無く、この手です。未来が視えないのなら、自分が願う最良の未来にこの手を伸ばせば良いのです」
ぎゅっと手を握り返すクリフトに「有難う」と言いながらアリーナは微笑んだ。
「アリーナ様!」
その声でクリフトは慌ててアリーナの手を離す。アリーナはくすりと笑った後、足元に跪く貴族に目を向けた。
顔は見た事があるが、名は思い出せない。貴族院所属の貴族である事は間違い無い。
「シェットと申します、王。伯爵の身分を戴いております」
「そう。シェット伯、何の用かしら?」
「院長ワイズ候から御報告です」
「……ワイズ卿から?」
「はい、先程、貴族院の裁量で領主館の食料を開放致しました。王の判断を仰ぎませんでしたが、全ては民を思っての事、御許し頂ければと思います」
「何…領主館の開放だと?」
動揺するクリフトをアリーナは不思議そうに見返す。
「領主館の食料が開放されれば安心して隔離政策を継続出来るわ…?」
「そ、そうなのですが…」
言い淀むクリフトの足元に今度はテンペに派遣している神騎兵の若者が跪いた。
「教父様。テンペの報告書を持参致しました」
「有難う御座います…」
動揺を悟られないよう努めながら、テンペからの報告書に目を通すクリフトの顔が見る見る険しくなる。
「どうしたの、クリフト?また罹患者が増えているの?」
「いいえ…。領主館の食料開放は真実のようです。パリス様からの報告書にも書かれています」
クリフトの顔は青褪めている。
「な、何がいけないの…?」
解らない、だが拙い事になった事だけは間違い無い。アリーナはぎゅっと拳を握り締めた。


「アリーナ!領主館の備蓄食料を開放するよう命令を出せ!」
父に呼ばれ、ルシオの執務室に駆けつけたアリーナは戸惑った表情で父を見つめる。
「アリエノールは必ず領主館の食料を開放する!お前が先に領主に命じるんだ!」
「お…、お父様」
「無理なら城の備蓄でも良い!」
「違うの、お父様」
アリーナは縋るように父の腕を掴んだ。
「もう駄目なの…、アリエノールは、貴族院は先程自分達の裁量で領主館の食料を開放したと報告して来たわ。同時に調査団のパリス様からも領主館及び備蓄食料を開放する旨を伝える使者がやって来たと報告が来たから間違い無い。……食料が開放された事は良い事の筈なのにクリフトが呆然として座り込んでいたから、何か拙い事になったのかも知れないとは思ったけど」
「…遅かったか」
ルシオは舌打ちをしながら腕を組んだ。小さな応えの音が扉から響く。
「クリフトか、入れ」
「…御義父上様」
青褪めた表情のクリフトが入ってくるとルシオはちらりと目を向けた。
「お前の見解を言ってみろ」
「立憲君主制となれば、貴族院は民心を集めねばなりません。王よりも貴族院の方が民の事を解ってくれている、そう世論に印象付けようとするには……このタイミングで領主館の食料開放するのは好都合でしょう」
「こうなる事を見込んで開放を渋っていた…」
ルシオの言葉にクリフトは頷く。
「恐らく。私腹を肥やす貴族達にはそれを断る理由などありません」
「……お前の対抗策は?」
「……申し訳ありません。神教会を守るだけで精一杯です」
瞳を伏せるクリフトから目を逸らすとルシオは舌打ちをした。
「万事休す、か。最悪だな。このままだと立憲君主制はアリエノールの意のままだ」
「お父様、クリフト」
アリーナは二人の顔を交互に見ながら言葉を紡ぐ。
「誰の命令であろうと領主館の食料が開放されたなら、隔離された人達が飢える事は無い。民にとって良い事なら私は…それは最善だと思える」
「アリーナ……」
「…そんな事しか言えない不甲斐無い王で、ごめんね」
アリーナの辛そうな微笑を封じる様にクリフトは抱き寄せた。


・・・「人心を得るのは 4」に続きます。


人心を得るのは その2
「これは…」
思った以上に。パリスは緑の瞳を眇めた。
悪い。
テンペの教会や治療院は既に罹患者で溢れている。これでも最初に比べれば落ち着いた方だと言う。
女性のみ、と聞いていたが、男性の姿もある。
ルシオが危惧した通り、この病は女性特有のものでは無かったらしい。
特効薬の類の物はまだ無い、だが、幾つか解ってきた事がある。
突然下痢と嘔吐が起こる事で発病するこの黒の病には潜伏期間がある。それがこの病の恐ろしい所だ。自分が罹患者かどうかは発病するまで解らない。
潜伏期間中に隔離出来ていないのだ、収まったとしても罹患者が現れる可能性は高い。再び猛威を振るう事は考えられる。
「……」
パリスはテンペの村の中央にある井戸を見つめる。何人もの神官が汲み上げ、罹患者の為に振る舞っている。
脱水症状が出ているのだ、根本的な薬は無い為基本的には水を飲ませて自己治癒を待つ形となる。それまで体力が持たなかった高齢者や幼児が次々と犠牲となったという。
黒の病が生じた初期、シスター達が井戸水を汲み上げ、罹患者に与え、献身的に看病した。
その後、彼女達も罹患者の一人となったのだが、最初に看病したのが必然的に女性ばかりだったのだ、女性ばかりに罹患者が現れたのも当然だろう。
「テンペの女の呪いだ等と吹聴する者まで現れるなんて」
テンペで懇意にしている数人の女性が、訪れたパリスに直訴したのだ。
テンペは女に災いを与える。最初はそのように言われた。
だが、徐々に男性に罹患者が増えると、今度はテンペの女は村に不幸を呼ぶ、と言われ始めたのだ。
勿論根も葉もない話だ。そもそも病が呪いだ等、医療も発達した今の時代の人間が言ったにしては荒唐無稽、莫迦げている。
辛い過去を持つテンペの女性達に対する非科学的な差別にパリスは心を痛め、憤りも感じた。
何としても原因を突き止めねばならない。
「神は全てを見ておられる。必ず全ては明らかとなり、善なる者達が救われる」
パリスは自分に言い聞かせるように呟いた後、再び病に関する報告資料に目を落とした。
…最初の罹患者。記録によればそれも女性だった筈だ。
女性特有の病でなければ誰でも最初の罹患者となる可能性はあった。
では最初の罹患者は何処で病に侵された?
それともその女性から生まれた、新しい病?
「…何か見落としているのだろうか?」
…事実を積んで行くしかない。徹底的に調べる。
絶対に何か法則がある筈だ。それを見極める為には膨大な情報が必要だ。
考え込むパリスに神官の一人が声を掛けた。
「パリス様!テンペ地方の領主様達の代理の方がお見えです」
「テンペ地方領主達の代理…?」
私に?パリスは眉を寄せる。
「はい。領主館の事でお話があるとかで」


・・・「人心を得るのは 3」に続きます。


人心を得るのは 1
「…バトランド方式」
クリフトは小さな声で呟いた。バトランドで行われている制度を取り入れるという事か。
サントハイムは立憲君主制だと言っても差し支えない政治を行っている。宗教と法が存在し、王一人に依存していない政治体制だからだ。
だが、王に最終決定権がある、幾ら議会で決まろうと王が反対すれば憲法など意味は失われ全ては白紙となる。最も、歴代の王でそんな暴君が王であった時代は片手で数えられる程度であり、今そのような事をすれば王家そのものの存続が危うくなる時代と移り変わっているのだが。
バトランドで行われているという立憲君主制はサントハイムとは明確に違う。
王の権限は少なく、議会が権力を有する。
振るうべき能力を持つ者が、振るう。力ある者が国を平定した、かの国らしい制度だ。
これをサントハイムに置き換えるという事は、三権、魔術院と貴族院、神教会にすべての権力を集中させ、君主である王は名目上に過ぎない権限しか与えられないという事になる。
拙い…、この流れは拙い。クリフトは淡々とした口調で改正案について語るアリーナを見つめたまま口元に手を当てた。嫌な汗が背を伝う。
前回の大会議で出されたような共和制案では無い為、アリーナが王としての地位を奪われるような事にはならない。
だが、アリーナの権限は全て奪われる。良く言えばサントハイムの象徴的存在となる、悪く言えば、ただのお飾りの王。
月に一度行われる領主総会の細かな内容は自分には解らないが、恐らく隔離政策の解除も貴族達が言い始め、それに押された形で決まったのだろう。それでも責任は王にある、王の失態と言われれば頷くしかない。
『もしも女王に予知夢の力があれば、このような事態は招かなかった』。
アリエノールが何気なく口にしたあの言葉は巧みに使われた呪文のような効果を出す。予知夢の能力の無い王の裁量に任せればこんな事態は二度三度起り得るという印象を貴族院だけでなく神教会にも与える事が出来た。
それに、前回の大会議で可決された『人権擁護法改正案』。あの改正案の効力も維持される。決定権が無いだけで、王は存在し、名目上の権利はあるのだ、『王の一存で決まる』、この部分に影響は与えない。
幾ら自分が神教会を説得しようと、自分達の失態では無いと貴族院に庇われた形となり、『人権擁護法』が守られる以上、神教会がこの法案に反対する理由が無い。
「…教父クリフト、聞いているかしら?」
アリーナの声でクリフトははっと我に返る。
「は、はい。すみません……」
アリーナは俯いたままのクリフトを見つめていたが、息を吐くと皆の顔を見ながら再び口を開いた。
「……投票は来週行う事とする。それまで各々良く考えて戴きたい」


もし、俺がアリエノールならどうする?
ルシオは窓の外を眺めながら頬杖を付いている。枝の先で戯れる小鳥達を瞳で追いながら、ルシオは呟いた。
「君主制が改定され、バトランドのような立憲君主制となったら…?」
アリーナから権力を奪える。
「…今度は自分が王のようにふるまう事が出来る時代が来るだろう」
魔術院は敵にはならない。強敵は神教会のクリフトだけだが、議決は数の勝負だ、クリフト以外の票を奪えるのなら問題ないだろう。それに国の運営は領主達を従える貴族院の物になる、クリフトが介入出来る部分は少なくなるだろう。
「問題があるとするならば…」
民意だ。
世論は自分達貴族院の味方となるのか?民意を味方に出来なければ次に引きずり落とされるのは自分だ。
その部分は救国の英雄であるアリーナに劣る。
何としても彼等の心を掴まねばならない。英雄王よりも民の事を考えていると印象付けなければならない。
だが今のところ、貴族への印象は最悪だ。再び隔離政策を実施し、物資も遮断された。最初の隔離政策をひと月で解除した為に再び黒の病は蔓延ったのだ、次の解除は何時になるか判らない。
それに関する鬱積はアリーナにも向けられているだろう。
病の終焉が判らない不安は、神教会が何とかするだろう。その為にパリスが現地に居る。
では、飢えの危機は?物資が残り少なくなる彼等の不安を消す事が出来れば、民意は貴族院の物となる。
彼等の心を手にするには、どうする…?
ルシオは立ち上がると部屋の掃除をしていた女官に叫んだ。
「おい、アリーナを呼べ!今すぐに!」


・・・「人心を得るのは 2」に続きます。


災いが落とす影 5
サントハイム大会議。

アリーナは立ち上がると宣言を行った。
「これよりサントハイム大会議を行う。…先ずはひと言言っておきたい事がある。テンペを中心とした黒の病に対する政策の失態は私にある。必ず原因を突き止め、終息させる。暫しの猶予を与えて戴きたい」
「…王よ、そんな悠長な事を言っているから後手に回っているのではないか?」
アリエノールは腕を組み、ニヤリと笑う。
「隔離政策を解除し、再び罹患者が増えたのは貴女の責任だ」
「隔離政策解除の理由は神教会が終息宣言を出した事にある!王の御判断は当然だった」
直ぐにクリフトが口を挟むとアリエノールはちらりと教父に目を向けた。
「感染源が特定されないだけで病が終息に向かっているのは間違い無いであろう?調査団の一員として、先代教父がテンペにいらっしゃるそうではないか、それが何よりの証拠」
神教会のメンバーが小さく安堵の息を吐く。
自分達の責任が逃れられるならそれで良いのか。その様子を見たクリフトは瞳を眇めた。
だからと言って、自分は何も言えない。
神教会が民からの信頼を失えば、この国は根幹から揺らぐ。パリスが現地に行く事で何とかその信頼を繋いだ状況なのだ、それを崩す真似は出来ない。
「だが、原因が解らないのに隔離政策を解除したのは拙かった。テンペだけでなくフレノールやフィーニアス候の領地も罹患者が出たのだから。…もしも女王に予知夢の力があれば、このような事態は招かなかったであろうが」
「アリエノール!」
クリフトが威嚇するように叫ぶとアリエノールは苦笑した。
「美しい兄妹愛だな、教父殿。王を庇われるか。…いや、御夫婦でもあったな、神教会の失態としてでも無能な妻を守りたいと思うのは当然か」
「王への暴言は慎みなさい…!」
「暴言?予知夢の能力が無い、という部分か?」
楽しげな様子で長い黒髪を背に払うアリエノールをクリフトはぎろりと睨む。
「…聞こえなかったのか?黙れ、と言っている」
クリフトの威圧に神教会の者達が震え上がるのを横目にアリエノールはクリフトの怒りを煽るようにニヤリと笑った。
「事実を申したまでだが」
ガタリと椅子の音を立てて立ち上がるクリフトを制するようにアリーナはその腕に優しく触れる。
「…クリフト、座りなさい」
「王への暴言をこの私に見過ごせと仰るのか?」
怒りを逃がすように肩で息をしているクリフトはアリエノールに瞳を向けたままだ。
「その通りよ」
触れていなければアリエノールに掴み掛る勢いのクリフトに出来るだけ静かな口調で諭す。
「今議論する事では無い」
「感情的な王にしては賢明だ。議会の停滞は何も生み出さない。…今年の法案は?」
アリーナはアリエノールを見つめるとゆっくりと口を開いた。
「今年は一件、君主制に関する改正案が出ている。サントハイム王は君主として君臨する、これが現行の君主制だ。それに加える内容は、『但し統治は行わない』」


・・・「人心を得るのは その1」に続きます。


Calender

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阿月さくら

Author:阿月さくら
ドラクエ4のサントハイムを中心とした二次小説を書いています。
SINCE.08/03/05

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