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ドラゴンクエスト4のクリフト×アリーナ(クリアリ)を中心とした二次創作サイトです。
見えそうで、見えない答え。
此処はブランカ。
中央大陸に存在する、天女伝説で有名な王国である。
サントハイム城で起きた神隠しの謎を追う為、サントハイムの世継ぎの姫君アリーナとその教育係で稀代の魔術師ブライ、そして、姫君の相談役であり幼馴染でもある神官クリフトは当ての無い旅を続けている。

answer.

これで爺に頼まれた買い物は全部済んだ筈。
もう直ぐこのブランカを発つ。サントハイムにその報告を兼ねて帰国中のブライに旅の準備を頼まれたアリーナは、ブライに託された準備リストを買い忘れは無いかともう一度上から確認した後、買い足した道具類を担ぎ直した。
今クリフトが買っている物で頼まれた品は揃う。向かいの道具屋で薬草を買い求めるクリフトに声を掛けようとしたアリーナはそのまま硬直した。
綺麗な女性。其れが第一印象。優しい瞳は微笑む男性に注がれている。
知らない女性だ。アリーナはきゅっと唇を引き結ぶ。緩やかに束ねた髪に飾られている生花が彼女の美しさを際立たせている。其の女性が親しげに声を掛けているクリフトもまた良く知った女性のようで、時折楽しそうに笑い声を上げながら話をしている。
どうしよう。アリーナは逃げ出したくなる衝動に駆られ、少し歩を進めたものの、此処から居なくなってはクリフトに心配を掛けてしまうと思い直し立ち止まる。
其の内、手を振りながら女性と別れたクリフトはアリーナが様子を伺っている事に気付くと顔を顰めた。
「声を掛けて下されば良かったのに」
少し苛ついた色を纏う声にアリーナもまた牙を向いた。
「…あの人、誰よ」
質問するアリーナからクリフトは顔を背ける。
「昔からの知り合いです」
「…ふうん、そうなの。随分と楽しそうだったわね」
棘のある言い方だと解っていたが、アリーナの口は勝手に言葉を紡ぐ。
「あなたの知り合いって事は、シスターか何か?」
「いいえ。サランに住む一般の方です。懇意にして頂いています」
…懇意にしている女性。つまりは、そういう事なのだろう。
「へえ、そうなんだ」
アリーナは震えそうになる声を叱咤しながら、クリフトに背を向けた。流石に表情は誤魔化せない、顔が引き攣っているのが自分でも判る。
「クリフトも隅に置けないわね。城に居た頃は浮いた噂を聞かなかったから、恋なんて無縁かと思っていたわ。彼女、綺麗だから気を付けなさいよ?」
「……」
クリフトは軽く王女の背を睨む。
「私の私生活等、貴女には関係無いでしょう?」
「!…ええ、そうね。関係無いわ!」
振り返り、アリーナは不機嫌そうなクリフトを睨み上げた。
「私とあなたは仕事上の付き合いだものね!」
苛々する。アリーナは怒りを逃すように大きく息を吐く。
クリフトだけでなくアリーナも道行く者達が何事かとこちらを伺う目線に気付いていたが、両者とも矛を収める気配は無い。
「…何です、その随分と棘のある言い方は。喧嘩なら受けて立ちますけど?」
人の気も知らないで。クリフトは苛立ちを纏った低い声を発しながら、腕組みをする。アリーナはふんと鼻を鳴らした。
「そっちが先に喧嘩を売って来たんじゃない」
「貴女が先でしょう!彼女の事を詮索した!」
あっそう。私には彼女の事は話したくないって事ね。アリーナは震える拳を握り締める。
「ええ、ええ、悪かったわね!クリフトに恋人が居るなんて知らなかったから!」
「なっ……」
何だと?…恋人?!…そんな存在等、居る筈がないだろう!私がずっと恋をしているのは貴女なのに!クリフトは心の中で喚いた後、出来る限り冷静に応じる。
「恋人ではありません。邪推は彼女に失礼です」
「ああ、そう!まだ恋人じゃなかったの!残念ね、それなら彼女と恋人になれるように私もお祈りしてあげるわ!」
お、お祈り?彼女と恋人になれるように?クリフトは顔を引き攣らせる。好きな女性にそんな事をされたくはない。
「そのような事はして戴かなくて結構です!もう良いでしょう、この話は」
クリフトは溜息と共に台詞を吐き出す。
「…貴女へ仕事以外の報告の義務は無い」
そう、義務も権利も、私には無い。
クリフトは帽子を目深に被り、だらりと下げているアリーナの手からブライのリストを取り上げた。
「……買い忘れは無いですよね?では一度宿へ戻り、荷物の整理を…」
「…クリフトって、何時もそうよね」
「え?」
クリフトはアリーナの方へと瞳を向ける。俯いている為、その表情を伺う事は出来ない。
「クリフトは何時だってそう!私が知りたい事は何も教えてくれない!!私は公務だろうと何だろうと何だってあなたに話しているのに!」
何でこんなに苛々しているのだろう?アリーナは涙声になっている自分に驚いていた。
互いの信頼の重さに隔たりがあると感じたから?それとも別の理由?
「姫様…」
何故アリーナが泣いているのか判らず、動揺した指を忙しなく組む。
「泣かずとも宜しいではありませんか……。貴女が知る必要の無い事ではありますが、命じて下されば、私だって…」
クリフトは瞳を揺らした後、ぽつぽつと話をし始める。
「その……、彼女はサランの道具屋のお嬢さんです。神学校に通っていた頃からの顔馴染みで…、古い友人の一人です。なので気さくに話が出来る女性でして」
…その道具屋の主人に彼女との縁談を持ち掛けられていた事は言わなくても良いよな。クリフトはちらりとアリーナの様子を盗み見る。アリーナは何かを考える素振りを見せた後、クリフトを見上げた。
「私だって古い友人の一人でしょ」
「ええ、まあ…」
友人と言い切るのは難しいとは思うが。クリフトは曖昧に頷く。
「クリフトは私とはあんな風に笑ったり話をしたりしない」
「……貴女は彼女とは違います」
アリーナはかっと瞳を見開いた。
「何が違うのよ?!私だってクリフトの友人で…」
同じ、女の子なのに。アリーナはぐっと口を閉ざす。
「私の認識の問題です。貴女は高貴な方です、それに…」
「もう、良いわ」
これ以上聞いていると、心の中の暗い部分が暴走して、おかしくなってしまいそう。アリーナは遮ると早口で捲し立てる。
「…そっか。私はクリフトの中ではその辺りの女の子とは違うって事ね。ううん、女の子でも無いんだわ、高貴な方、だものね。もう、良いわ、解ったから。…あなたの言ったようにこの話はもう止めましょう」
「…何が解ったのです」
クリフトはその真意を見極める様にじっとアリーナの瞳を覗き込んだ。その真剣な瞳にアリーナの胸はどきりと跳ね上がるも果敢に言い返した。
「解ったの!クリフトにとって、私なんてその程度の存在だって事でしょう?!…私はクリフトの事」
私は…、クリフトの事…。
何?
私にとって、クリフトという存在は…?
答が見えそうになった瞬間、アリーナは強い力で腕を掴まれ、強引に顔を上向かせられる。
「離して!」
みっともない顔を見られる!取り乱した声を上げると同時に見えかけていた答がふわりと朧げな形へと変化する。
待って。行かないで。私、その答えをずっと探しているの。
嫌々と頭を振るアリーナの瞳から涙が零れた。
「貴女は解っていない!貴女がその辺りの女性と同じな訳がないでしょう?」
自分の想いに気付かれる訳にはいかない。クリフトは苦しそうに眉根を寄せる。だが否定しないという選択は出来なかった。
自分の心を占領し続ける王女に『クリフトにとって自分はその程度の存在』という認識を持たれるのは我慢ならなかった。
「クリフト…」
一度はその剣幕に慄いたアリーナだが、冷静さを取り戻しながらクリフトを観察した。肩で息をするクリフトの顔は何かを堪えているように歪んでいる。
私が…解っていない。その通りだ。
何故、今、クリフトが感情を昂らせているのか、理解出来ない。
「離しなさい」
もう一度命じるも、離す素振りを見せるどころか、強く握り返された。痛みを感じ、アリーナは顔を顰める。
「貴女は私に命じる事が出来る高貴な方だ、…ええ、そうですよ。だから他の女性とは違う?そうですとも!違うから私はこんなにも心を苦しめられる!側に居たいと願うなら、何も言ってはならないから!」
「…クリフト」
暫く無言のまま瞳を地面に落としていた王女が名を呼ぶ。その静かに窘めるような声色で我に返ったクリフトは王女の腕を掴んだままの己の手を見つめながら返事を返した。
「はい……」
「命令違反よ。私が離してって言ったのに」
「申し訳…ありません」
掴んでいた場所にはそれと分かる指の痕が赤く残っている。
呆れた事だろう。訳の判らない不満を口にする臣下など、面倒で仕方が無いと。
「酷いわ」
腕を庇うように抱えながら呟く王女にクリフトは顔を強張らせる。
主人を守るどころか、怪我をさせるなんて。すぐさま頭を下げ、謝罪の言葉を口にした。
「申し訳ありません。如何様な処分も…」
「御蔭で忘れちゃったじゃない」
「…え?」
思わぬ台詞にクリフトが弾かれた様に顔を上げるとアリーナは悲しそうに微笑んでいた。
「私、あなたに何を言おうとしたのかしら。大切な事だった筈なのに。ずっと探していた答えが見えた気がしたのに……」
私が言おうとした言葉、クリフトが言えない言葉。
それは同じなのだろうか。それとも全く違うものなのだろうか。
今も心の奥深くに確かに存在しているのに。
型となりそうだった言葉は。
「消えてなくなってしまったわ」
「…そうですか」
アリーナの頬に残る涙の跡を指の腹で拭いながらクリフトもまた切なく微笑む。
「消えてしまった答えなら、それで良かったのですよ、きっと」
消えてはならなかった答えなら、また何時の日にか本当にその答えが必要な時に見つける事が出来るだろう。
否、見つからない方が良いのかも知れない。消してしまいたいと思う答えなど、この世には沢山ある。
クリフトは微笑みながら臣下の礼を取った、目を逸らしたくても逸らせない答えから逃れる様に。
「参りましょう、アリーナ様」


end.



サントハイム組三人旅の間のお話でした。ブランカに滞在中の二人。
お話に出て来た道具屋の娘さんとの縁談話も構想はあるので、また何時か書きたいと思っています。

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阿月さくら

Author:阿月さくら
ドラクエ4のサントハイムを中心とした二次小説を書いています。
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