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ドラゴンクエスト4のクリフト×アリーナ(クリアリ)を中心とした二次創作サイトです。
神官と王女の『聖なる教育』 番外編その2
「…これで裏が取れましたね」
此処は歓楽の都モンバーバラ。滅多に人も訪れる事のない教会から現れた神官風情の男二人。
若く、神官服を着崩した男の名はサイード。そして、彼の上官である生真面目そうな男の名はクリフト。
何方もサントハイム王国の紋章が入った神官帽を被っている。
「これであの忌々しい事件も終わりです。やっと一息吐ける」
この度の事件を共に追っていた神官サイードの言葉に漸くクリフトは笑みを浮かべた。
「そうですね。全く…、伯爵も余計な事をしてくれた」
再び顔を顰めるクリフトにサイードは苦笑する。
「また眉間に皺が。姫様が心配されますよ」
「え、ああ、そうですね」
此処数日は心穏やかな時は無く、この件で散々心配させられたアリーナにもまるで仕返しのように心配を掛けっぱなしだった。
愛しい妻の名が出た事でクリフトの顔は再び笑顔になる。
「もう笑っていらっしゃる」
サイードは大きな声で笑う。
「皆様の仰る通りですよね、クリフト様は姫様をとても愛していらっしゃる」
「…普通ですよ、普通」
莫迦にされている気がしたクリフトは素っ気無く返すもサイードは再び大声で笑った。
「そうですね、クリフト様にとっては『普通』ですよね!ふふっ、勉強になります。俺に奥さんが出来たらその位溺愛したいと思います」
間違いなく、莫迦にしている。クリフトはサイードを睨んだ。
この神官はとても優秀で、神聖魔法だけで無く古代魔法の幾つかを習得している。魔術師としても頭角を現したであろうが、訳あって神官となった。
行動力もあるのでクリフトの片腕として重宝しているのだが、何しろ性格が軽い。神教会の中では『サントハイムのマーニャ』と陰口を叩かれている位だ。
サントハイムでもその性格と奇抜な衣装、そして唯一無二の踊りが有名だが、それ故にモンバーバラで地位を得たマーニャにとって、マーニャよりは幾らか常識人であるサイードにとっても、不名誉な呼び名だろう。
「お喋りはもう結構です、サイード。サントハイム城に戻りますよ。早く報告書を纏め、王に御報告致さねばなりません」
「はい、はい。今すぐに」
サイードは空間移動魔法の呪文を唱えた。

The sacred education of priest and princess

玉座に肘を付いたまま、クリフトからの報告を聴いていたサントハイム王ルシオは、ひとつ頷いた後、立ち上がった。
「…報告はその位で良い」
「しかし、まだ続きが」
「其処まで聴けば充分だ、第二部隊と隊長ミゲルの名誉は守られる。…クリフト、良くやったな」
「…はい」
思わず涙ぐみそうになるのを堪え、クリフトは頭を下げた。
「報告書を上げておけ。…それと俺の執務室に来い。今後の事を話そう」
「は、はい…」
先を行くルシオの背を見つめながら、クリフトは首を傾げた。
もう、この先の事も決めてしまうのだろうか?確かに早くミゲル達の行動は正義であったと世間に知らしめたい、だが早急過ぎる。
あの伯爵の事もあるのだ、貴族院に報告し筋を通さなければ、事は進まなくなる。
王の執務室に入ったルシオは、そのまま椅子に腰を掛けた。クリフトは扉の前でどうしてよいか判らず、固まっている。
「何をしている、クリフト?」
少しくだけた調子でルシオが声を掛けるとクリフトは更に困った表情を浮かべた。
「あの…、ミゲルの今後の事は貴族院に報告し、伯爵の自白を得た後でなければ…」
「ああ、解ってるって。後は俺が貴族院の連中に言っておく。…お前を呼んだのはそんな事じゃない」
「では、王…、一体」
「王、じゃない。義父上」
ニヤリと笑うルシオにクリフトは引き攣った笑みを返した。どうやら内密な打合せの類では無く、個人的な話であったようだ。それならば正直、一刻も早く報告書をきちんと整える時間に充てたいのだが。
「はい、御義父上様。一体何の御話でしょうか?」
「…俺には解っている、クリフト」
ルシオの紅蓮の瞳に射貫かれたクリフトは息を呑む。
義理の父ルシオは、予言王と呼ばれる程、未来の夢を紡ぐ。
其れは世界の行く末に関わるものから朝食の内容まで、多岐に渡る。
「アリーナが苦労を掛けるな。…口にするのも難しい悩みをお前には押し付ける結果となり、申し訳ないと思っている」
「!」
クリフトは顔を青褪めさせた。
アリーナはとても良い妻だ。環境の違いに戸惑う事も互いに多いが、それよりも漸く誓った未来を手に入れた歓びの方が勝り、何れも些細な、取るに足りない事としか思えない。
だが。クリフトは額の冷や汗を拭う。確かに口にするのも難しい悩みがある。
自分で言うのは何だが、自分とアリーナは実に仲睦まじい。
が、其れは互いの心を通わせ合っている、という意味であり、夫婦として身体を交わす事は無い。
そういう行為が嫌だという訳ではない、と言うか、その段階にも至ってはいない。
単純にアリーナは知らないのだ、子を得たいと願うならどういう行為を致さねばならないかを。
全ては自分の身から出た錆。彼女の未来の夫に対する嫉妬から、その手の教育を怠った自分が悪い。
「御義父上様は、御存知なのですか…?」
夢の形で、視てしまったのだろうか?クリフトは探り探り義父に尋ねる。
「その……、私の悩みを」
義父に夜の営みに関する相談をする羽目になろうとは。自分は勿論、ルシオも不本意に違いない。
「…お前も知っての通り、アリシアは女だけの王国に生まれた。身体が弱いからと深窓の令嬢のように育てられていたから色々と知らない事も多かった」
クリフトは小さく頷いた。本来なら、子を産む事も難しい程に身体が弱かったと聞く。
御輿入れ等は許される筈もなかっただろう、子が産めなければ政略には使えない。実際、かの国の女王にルシオが結婚を申し込んだ際、断られた為、駆け落ち同然でサントハイムに来たという。
恐らく其れに付随する知識を与えられる事も無かっただろう。
「お前もお子様なアリーナには手を焼いている事だろう」
「そ、そんな事は…、い、いえ、そうなのかも知れませんが。でも私に全ての責任はあるので」
「そんな事は無い。知らないというのはそれだけで罪だ。知ろうとしていないのだからな」
「御義父上様…、ですが私は彼女を怖がらせる位ならもう少し待とうと…」
「大丈夫だ。知ればきっとアリーナも喜ぶ」
「そ、そうでしょうか?」
「そうだよ。お前の御師匠様に聞いてみろよ、その手の喜ばせ方はよーく知っているから」
ルシオは笑うと複雑な表情を浮かべるクリフトに本を差し出した。
「でも、ま、あいつはお前の前では聖人君子面をするから絶対教えないだろうけど。其処でこの本だ」
クリフトは本を手に取り、何気なく広げる。が、一瞬で閉じた。
これは以前ブライに押し付けられそうになった本の比では無い。
夜の営みが何たるやも知らぬ初心者が手を出して良い本では無い。
「御義父上様…この本は一体?!」
「俺が昔キングレオへの視察に行った際、モンバーバラで手に入れた物だよ。それがあればお前の師匠並みに技術力のある男になれるって寸法さ」
「あの……仰っている意味が少し解らなくなってきたのですが」
「ん?新婚だし、色々としてみたい事もあるだろ?」
「……」
色々も何も。何も始まっていない。
「それとさ、これもやるよ」
ルシオから放られた小瓶を掴むと訝しがりながら瓶の蓋を開けた。妙な香りがする。
「簡単に説明すると『興奮剤』だよ。俺も早く孫とか見たいしさあ」
アリーナに飲ませてみろよ、お前、眠らせてもらえなくなるぜ?アリーナの実の父とは思えない発言をするルシオに若干軽蔑の眼差しを送る。
「御期待に沿えるよう努力します。取り敢えず御義父上様、この本はお返ししま…」
クリフトが突き返そうとした瞬間、後ろから本を取り上げられた。焦りながらクリフトは振り返り、一瞬で青褪める。
「パ、パリス様……!!」
パリスはすました顔で本の中身を確認した後、クリフトににっこりと微笑んだ。
「クリフト。この本はサントハイムに存在してはならない物ですよ?」
「解っています、勿論!そ、その様な物とは知らず、…御義父上様がお渡しになったので手に取ったまでで」
「御義父上様?」
パリスは首を傾げる。
「何処にいらっしゃるのです?」
「え!!」
居ない!
テラスに通じる扉は開かれ、風に煽られたカーテンが優しく揺れている。
パリスの気配を感じた瞬間、テラスに逃げ、瞬間移動魔法ルーラを使ったに違いない!
「王の執務室に忍び込んでまで知りたい事があるのなら」
パリスは妖艶に微笑むとすっかり血の気が引いたクリフトの顎を掴み、顔を寄せた。
「私が教えてあげましょうか?」


end.



そしてクリフト君はパリス様から『このような本に手を付ける事は神官としてあってはならない』と懇々と説教を受け、聖人君子とはどのように振る舞うべきかを教えられるのでした。

初登場の神官・サイード。第二部隊とその隊長ミゲルが巻き込まれた事件に関しての構想はありますので、また何時か書いてこちらで公開出来たらなと思っています。

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阿月さくら

Author:阿月さくら
ドラクエ4のサントハイムを中心とした二次小説を書いています。
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