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ドラゴンクエスト4のクリフト×アリーナ(クリアリ)を中心とした二次創作サイトです。
万愚節の学ばない人達 side.A
本日は快晴、その為か少し動けば薄らと汗を掻くほど温かい。
サントハイムの王女アリーナは本日の公務の内容を確認した後、謁見の間へと向かいながら溜息を吐いた。
憂鬱な公務ばかり。アリーナは絹の手袋の下にある、クリフトから貰った指輪に触れる。今日は他国の外務大臣との謁見がある、恐らく資金や人手を援助したいという申し出なのだろう。
それはありがたい事だ。サントハイムは一年半もの間、王無き王国であった為、魔物の脅威が去ったとは言え、他国に比べて復興に時間を要する状況だ。このサントハイム城も魔物に蹂躙されており、修理費用も時間も莫大なものとなるだろう、それにも増して地方の小さな街等は捨て置かれたような状況にもなっていると聞く。
早く何とかしなければならない。その為にも他国の力は喉から手が出るほど欲しい。
……だが。無償で手を貸すような御人好しの国など無い、全て等価交換。
資金や人手を援助する代わりに差し出せと暗に仄めかす事だろう。
勿論。アリーナは暗い瞳を床に落とす。未来のサントハイム王の婿の座を。

What day is today?

玉座の間にやって来たアリーナは、入り口に佇んだままぎゅっと拳を握り締めた。
父王ルシオは書類を片手に数名の大臣達に何やら指示を与えている。何時もそうであろうとなかろうと余裕の笑みを絶やさない父だが、時折難しそうな表情を浮かべる。アリーナ如きでは手におえないような難題である事は明白だ。
「…おお、アリーナ!来たか」
ルシオは大臣達の隙間から愛娘の姿に気付くと右手を上げた。
「伝達は以上だ、頼むぞ」と大臣達に囁いたルシオは、近づいてきたアリーナに微笑む。
「お早う、アリーナ」
「お父様……」
強張った表情のアリーナにルシオは目を細める。
「どうした?」
「……お父様を困らせているわ。もっと早く私がサントハイムを救っていたら、これ程までにはならなかったのに」
「お前のせいじゃない、お前は良くやってくれた。責任は全て俺にある」
肩を叩く父の手を取り、アリーナはその紅蓮の瞳を見上げた。
「…結婚の話…来ているんでしょう?今日の他国の大臣との謁見に私が呼ばれたのって、それよね?」
ルシオの眉がぴくりと上がる。
「お前…、気付いていたのか」
「気付かない訳、無いでしょ?」
「……」
暫く無言でアリーナを見つめていたルシオはついと目を逸らすと玉座に座った。
「アリーナよ。サントハイム王としてお前に命ずる」
「…はい」
「今日謁見を行う国の大臣達の話を聞き、サントハイムに最も有益と思われる国との縁談に臨んでもらう。これは命令であり、お前に断る権利は無い」
「……」
アリーナの表情が曇る。
解っていた事だし、覚悟もしていた。
それでも。
クリフト。
彼の顔が脳裏にちらつく。
「……私はサントハイムの王女、王の命令には従います」
真っ直ぐな瞳で見つめてくるアリーナを見つめ返すルシオは寂しそうに小さく笑った。
「昔のお前なら、飛び出していただろうにな」
「…王女の責務から逃げないと約束したの。その代わり、もう少し待って欲しいの!私達がずっと一緒に居る為には認めてもらわなければならないから」
「私…達?」
ルシオは瞳を眇める。アリーナは左手の絹の手袋を剥ぎ取ると左手を胸の上に置いた。
「私達はずっと一緒に居ると誓ったの。それぞれの責務を全うし、国に認めてもらえるその日まで全力で駆け抜ける、どんな未来だろうと可能な限り足掻くと」
「…指輪。結婚を…誓っているのか?」
ルシオは掠れた声で呟く。
「私達とは、お前と誰の事だ、アリーナ?」
父の怒気を含んだ声が上がった。
「言え!」
びくりと身体を震えさせたアリーナだが、ルシオを睨む。
「私とクリフトは未来の王と教父として、共にサントハイムを支える役目を持っている。だけど、止められないの!私は、アリーナは!彼を愛している。彼以外の手を取る事なんて、もう、出来ない…!」
「アリーナ…」
ルシオは瞳を閉じると顔を伏せた。
「選択の時を伸ばせば伸ばすほど、サントハイムにとって不利になる」
「解ってる。絶対に他の手段を見つけてみせるから…、お願いします、お父様!」
頭を下げるアリーナの左手で光る指輪を見つめながら、ルシオは独白でもするかのように呟いた。
「…結婚という形を望むのか、アリーナ?それはあいつも望んでいるのか?エンドール王セトの父親のように別の形で愛を育む事だって」
エンドールの王女モニカの父セトの父親は、政略結婚をした妻を生涯愛する事は無かった。身分が無い為結婚は出来なかったが、ひとりの侍女を愛人として囲っている事は大抵の国は知っていた。
ルシオはセトの父親のような選択もあると言いたいに違いない。それならば如何に戒律厳しいサントハイムも二つ返事で許し、目を瞑るだろう。救国の英雄であり次期教父をサントハイムは手放したくない筈だから。王位継承権を与えられる事は無いだろうが、英雄の子となるのだ、二人の間に秘密裏に子を持つ事も許されるだろう。
だがアリーナはその提案を否定するように首を横に振った。
「…クリフトは『ずっと側に居る』としか言わないわ。今の彼はそう言うのが精一杯。だけど、言葉だって躊躇った彼が、こうして愛を形にしてくれたの」
アリーナは瞳を細めながら、右の指で指輪に触れる。
「その勇気と覚悟に報いたい」
「……身分無き者とサントハイムの後継者の結婚など、誰が許すものか」
ルシオの暗い声にアリーナは苦しそうな表情で瞳を閉じる。
「絶対に許してもらえるように努力する…、もう私達は決めてしまったの」
「…アリーナ」
ルシオは溜息を吐きながら、玉座に深く腰を掛けた。
「期限を設けよう。二年だ。二年以内に諸外国が外交にお前との結婚を持ち出さなくなる程度まで復興を進めろ、それ以上は待てない」
「…解りました、必ず」
「言ったな。今日から二年だぞ」
「はい」
頷きながら、アリーナはふと今日は何日だっただろうと記憶を巡らせる。
此処数日忙しかったが、今日は確か。
「…万愚節」
呟くアリーナにルシオはニヤリと笑う。
「気付いた?」
「…うん、気付いちゃったわ。お父様…、私を騙したのね?」
「騙してなんかいやしないさ、実際にそういう駆け引きをしてくる国だっている。そんなものは俺が突っぱねているがね」
「でも、今日の謁見を申し込んだ国の大臣の話を聞いて、結婚する国を選べと…」
「それは嘘かな」
「……」
「お前、本気か?返答によっては俺も考える」
ルシオは真剣な瞳でアリーナを見据える。アリーナは微笑むと小さく頷いた。
「…私ね、王女に生まれて良かった。クリフトに…、こんなに素敵な人に出会えたんだもの。彼以上の人とは巡り会えない、私は未来は視えないけど確信しているの」
「…そうか」
ルシオは瞳を閉じると深く息を吐く。
(私、今日まで生きてきて良かった。こんなに素敵な人に出会えたんだもの)
アリシア、どうしたら良いと思う?この子はお前と似たような事を言う。
ルシオはゆっくりと瞳を開けた。
サントハイム王としては間違っているのかも知れないけど、父親としては正解…だよな?
「…二年だ、アリーナ。二年以内に復興を成し遂げろ。それが出来れば、俺はお前達の婚約を公式に発表する事を考えてやる」
「お父様…!有難う御座います」
「難しい事には違いない。結婚も復興もな。…しかし、お前が其処まで本気になるとはなあ。旅の中で何があったんだか」
ニヤニヤと笑う父親の台詞にアリーナの頬が赤らむ。
「そ、そんなの言えないわ」
「ふうん?ま、その辺りは来年の万愚節で聞くとするかな?」
「…来年は引っ掛かりませんから!」


end.



「万愚節の学ばない人達 side.K」と同じ時間軸に在る、アリーナとルシオお父様サイドのお話でした。

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阿月さくら

Author:阿月さくら
ドラクエ4のサントハイムを中心とした二次小説を書いています。
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