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ドラゴンクエスト4のクリフト×アリーナ(クリアリ)を中心とした二次創作サイトです。
最後の定期船
港町コナンベリーを出港した最後の船は、ソレッタ大陸の玄関口ミントスへと向かっている。
何とか乗船券を手に入れ、帰郷する多くのソレッタ人と共に船に乗り込んだサントハイムの姫君一行は、新たな地ソレッタでの活動計画を立てていた。丸い卓を囲み、ソレッタ大陸の地図を広げている。
「…先ずは此処、ソレッタ王国へ向かいましょう。正直を申しまして、この国とは国交らしき交流もありません。これまでの国と同様には行かぬと思っておいて下され」
「つまり、ソレッタ王の協力を期待するのは難しい…って事?」
「左様」
王女の理解にブライは頷いた。
サントハイムは農業国としての一面も持つ。ソレッタもまた同様であり、距離的にも両国は利害が一致しない為、正式な条約や国交等は無いと言っても過言では無い。
エンドールのように自分達の代わりに諜報活動をしてくれる事もブランカのように馬車を借りる事も期待してはならない。
「ソレッタには商人の町ミントス以外大きな町は御座いません、つまりミントスで成果が上がらなければソレッタでのそれ以上の収穫は見込めないという事。土地勘も機動力も無い私達だけでも難しくは無いかと」
クリフトの見解を聞いたアリーナはほっとした表情で頷いた。
「そっか。何とかなりそうね」
「勿論ソレッタ王と謁見する必要はあるでしょう、王のエスターク復活の予言やこの先入ってくるかもしれないサントハイム城の皆様の行方に関する情報の提供等、お知らせする事やお願いする事は御座います」
「うん、そうだね。……ソレッタ大陸、……広いわね」
アリーナは目の前に広がるソレッタの地図をじっと見つめる。国土の半分は砂漠とその浸食を阻むように切り立った山脈が占める。ソレッタとミントスを結ぶ街道はあるが、目ぼしい宿場町は殆どない。野宿は避けられないだろう。
「…ん、どうした?クリフト」
ブライの声でアリーナは顔を上げた。ブライは気遣わし気な様子でクリフトに手を伸ばす。
「…!」
顔が真っ青。アリーナの表情も強張った。珍しく汗も掻いている。座っているだけで、寧ろ、寒い、のに。
「大丈夫です。お手を煩わせる程の事では」
クリフトはブライの手を遮るように掌を突き出した。
「船酔いです、下を見ているとどうも気分が優れなくなります」
「……。そうか。この海峡は内海と外海を繋ぐ、その分潮の流れが早く、距離の割には進まぬ。大分流されるからのう。部屋に戻るが良い、クリフト。具体的な日程は儂とアリーナ様で詰めておく」
「申し訳ありません」
クリフトは会釈した後、卓に手を付いて立ち上がる。アリーナも慌てて立ち上がった。
「爺。私、クリフトを部屋まで送っていくわ、直ぐに戻るから」
「大丈夫です、一人でも…」
「そうして頂けると助かりますな」
直ぐに遠慮したクリフトの言葉が終らぬ内にブライはアリーナに許可を出す。
ブライはクリフトの体調が思わしく無い事を知らない。だが、感じ取っているのかも知れない。
これがただの船酔いでは無い事を。

last ship

「申し訳ありません、姫様。お手数をお掛けしまして」
クリフトは壁に手を付きながら歩いている。その手を横目にアリーナは頭を振った。
「心配するのは当然でしょ。あなたはどう思っているか知らないけど、私はあなたを大切な一番の友人だと思っているんだから」
「……有難う御座います」
微笑むクリフトに笑みを返した後、アリーナはクリフトの手にある船室の鍵に手をかけた。
「私が開けるわ」
声を掛けた後、アリーナは唇を引き結んだ。
恐ろしく冷たい指。昨日よりも酷いのではないだろうか?
ブライに触れられまいとしたのは、これが理由か。
ブライの手を煩わせたたくないという態を成していたが。
己の不調を悟られない為。
クリフトに宛がわれた船室の扉を開け、中に入るとそのまま崩れる様にクリフトは膝を付いた。
…身体は熱い、かなり熱が上がっているに違い無い。
アリーナは引き摺るようにしてクリフトを寝台へと連れ、横にする。
昨日、アリーナは様子のおかしいクリフトの不意を突く事で、クリフトの体調が優れない事を知った。だが、ブライには知らせないで欲しいと言う。
その願い通りブライには伝えていないのだが。
「……爺にも言っておいた方が良いわ」
アリーナはそっとクリフトの手を握る。
「爺は何も言わないけど…、心配してる。あなたはどう思っているか知らないけど、爺はあなたを本当の孫のように愛している」
「…ええ。解っています。解っているからこそ、言えません。…本当は貴女にも知られたくは無かった」
クリフトは空いている方の手で瞼を覆う。
冷たい手の重みがじんわりと熱を持った身体を癒す。
そう、貴女にも知られたくは無い。本当はもうどうしようもないほど身体が動かない事を。
クリフトは瞼の上の手を離し、アリーナに微笑んだ。
「…早く治さないといけませんね。昨日よりは食欲があるのです、ミントスに着く頃には元通りになりますよ」
勿論、嘘だ。食欲なんて随分前から無い、強引に食べているだけだ。
熱は全く引かない。最近は立っている事すら難しくなった。
平然とした表情で日々を過ごす事は限界が近い。
いや、それより、この旅を続ける事にも限界が近いのでは無いか、そんな不安ばかりが押し寄せる。
ミントスまで持たないかも知れない、この船旅が最後となるかも知れないと……。
「そう!良かった」
クリフトの嘘を信じるアリーナはぱっと明るい笑みを見せる。そして軽やかに立ち上がった。
「早く元気になってね、クリフト」
「…はい、くれぐれもブライ様には」
「解ってる!じゃあ、戻るわね、爺が心配し過ぎて怒りだしていたら大変だから」
部屋の外へ出て行くアリーナを見送った後、クリフトは苦笑交じりに呟いた。
「私も怒られてしまうかも知れないな。ブライ様と……姫様に」
私を大切に思い、心配してくれる二人は、きっと、病気が深刻な事を黙っていた私を怒るだろう。
だけど、私も二人が大切で、私などには勿体ない心配りなどして欲しくないから。
最後の最後まで、三人旅を続けたいから。
得意な嘘を吐き通す、限界の瞬間まで。
だけど、その瞬間が来た時の為に。
「言い訳を考えておかないといけないな」
呟き、瞳を閉じる。
そのままクリフトの心は睡魔が支配した。


end.



コナンベリーからミントスへ向かう船の中でのお話でした。
書いてなかったな~、この船旅のお話。と思い立ち、書いてみました。


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阿月さくら

Author:阿月さくら
ドラクエ4のサントハイムを中心とした二次小説を書いています。
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