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ドラゴンクエスト4のクリフト×アリーナ(クリアリ)を中心とした二次創作サイトです。
勝者の微笑
アリーナは無言のまま双刃武器キラーピアスを繰り出した。
二つの軌跡は弧を描き、確実に魔物の急所を抉る。
今相手をしている魔物バアラックは見た目は頭部に角を持ち、背に緑の羽根を生やした子供のような風体だが、厄介な魔物だ。数が多く、隙をついて他のバアラックや回復魔法が得意なベホマスライムを増援に呼び寄せる。
ライアンとぺヴァルが左右から剣を振るい屠るとアリーナは次のバアラックに狙いを定めた。
「…姫!」
別の方向にいた魔物ガーディアンが放つ凍える吹雪に気付いたペヴァルはアリーナを抱き寄せ、天空の盾を翳す。吹雪が左右に霧散したのを確認し飛び出そうとするアリーナの腕をぺヴァルは掴んだ。
「急がないと増援が来るわ!」
「解ってる!でも回復が先だ」
アリーナの脇腹は血が滲んでいる。
「何時の間に…」
アリーナ自身も気付いていなかったらしく、顔を顰めて傷口を押さえた。
「クリフト、頼むぞ」
駆け寄って来たクリフトにアリーナを預け、ぺヴァルはライアンの応援に走る。
クリフトの高位回復魔法の呪文の詠唱を聞きながら、アリーナが叫んだ。
「ぺヴァル!マネマネの様子が!」
その声で、ずっと此方の様子を見ていた、炎の形をした魔物マネマネが何やら呪文を唱えている事に気付いたブライが表情を硬くした。
「これは…、失われた古代魔法!」
「古代魔法?…失われた?!」
マーニャが驚き、魔物に注視する。
「これは…」
ぺヴァルは舌打ちをした。この呪文は聞いた事がある。
「…老師、あの魔法はモシャスだ!」

mocass

「何っ!…写し身の魔法か」
モシャスは相手そっくりに姿を変える、今では人の世には伝わらない古代魔法の一つである。
写すのは姿だけでなく、その能力も完璧に写し取る。
ブライはマーニャを振り返る。
「お主に変化されるのは危険じゃ!退がれ!」
マーニャの強力な魔法を使われれば、此方は一気に不利となる。
「ぺヴァルもじゃ!」
ぺヴァルが頷き後退するとライアンとトルネコがバアラックに襲い掛かる。
「私はガーディアンを倒すわ!」
「…姫様!お待ち下さい!」
クリフトはライアン達の応援をするべく駆けるアリーナを追い始めたが、ブライに引き止められた。
「クリフト、お主は最も行ってはならぬ!」
「ブライ様……!」
今はマーニャやぺヴァル同様、自分も動くべきでは無い。もしマネマネが自分に変化すれば、此処まで追い詰めた魔物達が回復するだけで無く、即死魔法ザラキを使われてしまう可能性がある。
マネマネの姿がゆらりと揺らぐ。
誰に変化するつもりだ?固唾を呑んで見守る中で変化した、その姿は。
「げっ、アリーナ!」
マーニャは顔を顰めた。
現れたのは、濃紺の外套と帽子を被り、両手にキラーピアスを握る、紅瞳が印象的な麗しきサントハイム王女の姿。
マネマネとしては、ベストな選択だったと言えるだろう。
此方を一掃する魔法の使い手に逃げられたなら、一撃必殺の素早いアリーナを選ぶのは当然だ。
会心の一撃でもお見舞いされたら、此方の勝機は格段に下がる。
「くっ…、姫様に変化するなんて」
万が一に備え、クリフトは不可視の盾で皆を守るべく、防御魔法の呪文を唱え始める。
その間にアリーナもどきは猛牛のようにぺヴァルに突進した。
ぺヴァルは顔を顰める。あと少しでバアラックを倒せる状況なのにアリーナもどきの相手をしていたら増援を呼ばれてしまうかも知れない。
だが、自分がアリーナもどきを止めていなければ、ブライやマーニャは殺されてしまう可能性が高い。
アリーナもどきはニヤリと笑い、腰を落とし、床を蹴る。
早いっ!敵に回したら厄介な王女である事を再認識しながら、ぺヴァルはアリーナもどきの動きを目で追う。
あっと言う間に懐まで入り込まれ、アリーナもどきに盾を弾かれた。
拳を叩き込まれる…!ぺヴァルは瀕死の状態になるのを覚悟し、腹に力を入れたが。
ふわりと顔を優しい色の髪が撫でる。
「…?」
叩き込んで来ると思った腕はぺヴァルの首に巻かれた。
『ぺヴァル…』
その声に甘さを感じたぺヴァルはアリーナもどきの顔を見下ろす。
「アリーナ姫」
可愛い。間違い無く可愛い。
紅の瞳は本物の王女と比べて光も無く濁りを帯びてはいるものの、頬を染めて微笑む姿は本物同様、愛らしい。
ぺヴァルははっと我に返った。
…ち、違う!これは魔物だ!
本物のアリーナは自身の偽物には目もくれず、ガーディアンを一撃で仕留めた後はバアラックの掃討を行っている。他の仲間達もマネマネはぺヴァルに任せておけば良いと判断したのか、誰も応援に来ない。
引き剥がそうと躍起になる。が、可愛らしくてもアリーナ、その腕力は勇者も歯が立たない。
「ちょっと、離して…」
『嫌』
「いや、そんなに可愛く言われても」
何故か強くは出れないペヴァルにアリーナもどきはぎゅっと抱きついた。
『嬉しい、可愛いだなんて』
驚いた表情のまま硬直しているクリフトに気付いたぺヴァルは腕を伸ばして叫んだ。
「お、おい!クリフト、助けて!」
その言葉を合図としたかのようにクリフトが動き始める。ぺヴァルはほっと息を吐いた。アリーナそっくりの魔物をクリフトが攻撃出来るかどうかは判らないが、この神官と二人がかりなら何とか倒せるだろう。
「ぺヴァル…」
殺気が込められた低い声にぺヴァルは戦慄した。
この神官に倒されるのは俺の方かっ!!
「クリフト、違う!これは魔物だ!」
この魔物、何て小賢しい真似をしてくれたんだ!
アリーナに化けて色仕掛けを俺にする事でクリフトを焚き付けるなんて…!
「魔物の作戦だ!こいつは俺達が仲間割れして同士討ちを始める事を狙ってる!」
『ぺヴァルー、何時もみたいにキスしてー』
「何時も?!…俺とマネマネ君、初対面だよね!何を言っているんだよ、ねー、クリフト」
「…どうですかね、それは」
まんまと作戦に嵌っている嫉妬の塊は、眉をピクリと持ち上げた。
「ぺヴァル…、姫様に言い寄られているからと調子に乗るのは其処までですよ…!」
口付けを強請るアリーナもどきから顔を背け、ぺヴァルはクリフトに叫ぶ。
「マネマネだから、これ!本物は向こうで戦っているだろ!」
アリーナは実に生き生きと無双状態でバアラックの群れと戦っている。何体かベホマスライムを呼ばれたようだが、その回復は追い付いていないようだ。
「…だからと言って、この状況を見過ごす事は出来ませんよ……」
クリフトはぺヴァルを見据えたまま、落ちていた槍を拾う。
「命までは奪いません。が、取り敢えず、姫様から離れてもらいますから」
背に在る至高の剣に手を掛けなかったのは、この神官の最後の慈悲だったらしい。
ああ、駄目だ。
嫉妬するこの男がお手柔らかな離し方をしてくれるとは思えない。
『ぺヴァル、早くー』
「もう姫もどきは何も言わないで…!」
その時、がくん、とアリーナもどきが床に崩れ落ちた。
「…?」
男達が見下ろす先でアリーナもどきは眠っている。
「…睡眠魔法ラリホーを掛けたわ」
不甲斐無い男達の援軍にやって来たミネアの言葉に二人はなるほどと納得する。
本物の王女同様、魔法への耐性も低いらしい。
「ぺヴァル、今の内に魔物を倒して」
ミネアの号令にぺヴァルは泣きそうな顔で頷いた。
「うん…!有難う、ミネアさん!やっぱりミネアさんは頼りになる!!」
やはりデスキャッスルはデスピサロを守る最後の砦、危険極まりない場所のようだ。

「…こっちは片付いたよー!」
駆け寄って来たアリーナをクリフトは軽く抱き締める。
「お疲れ様でした、姫様」
「私に変化したマネマネ、強かった?」
「直ぐに睡眠魔法で眠ったので、判りませんでしたが…、でも本物の姫様の方が断然綺麗です」
「え?…やだー、クリフトったら!」
照れて頬を染めるアリーナから目を離し、クリフトは勝ち誇った笑みをぺヴァルに見せる。
ぺヴァルは不満そうに唇を尖らせた。
「いやいやいや!俺が負けたみたいになってるの、おかしいからね!」


end.



四つの結界破壊後、デスキャッスルを攻略中のお話。
時系列的にはアリーナ姫と神官君は両想いである事を認識しています。

リーアさんに戴いた絵でお話を考えている時、戦闘中のお話も考えたりしていました。
で、マネマネ絡みのこんな感じのお話にしたのですが、勇者君の名前が上手く処理しきれず、こちらのお話は断念した、という経緯があります。


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阿月さくら

Author:阿月さくら
ドラクエ4のサントハイムを中心とした二次小説を書いています。
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