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ドラゴンクエスト4のクリフト×アリーナ(クリアリ)を中心とした二次創作サイトです。
恋のおまじない 前編
「おまじない?」
首を傾げるアリーナの前に座るマーニャは、目の前のサラダにフォークを突き刺しながら頷いた。
「そういうの、した事無い?学校とかで流行るのよ」
「んん〜、無い」
アリーナはパンを千切ると口に頬張る。
「私、学校自体、良く分からないのよ。行った事無いし」
「あーそっか。あんたには専属教師が付くもんね」
学校の楽しさは勉強以外の所が殆どだ。それを知らないとは、お姫様は不憫な生き物だ。
「学校はさ、勉強しながら友達とかとお喋りするのが楽しい所よ。他人との交流や共同作業も勉強の内だからね」
「…友達」
アリーナは小さく呟いた。礼儀作法やお裁縫の講義は貴族の娘と一緒に行う事もある。学校はその時のような環境に近いのだろうか?だが、彼女達は友達とは違う。どんなに親しく話しかけてきてもそれは表面上の事、利害と打算が透ける。
本当の友達等、あの場所には居ない。
心を許せる、ただ一緒に居るだけで楽しかった友達は、何時も聖堂横の小さな部屋で微笑んで居た。
「私にはクリフトが居たもの」
「…アリーナ?」
マーニャが訝し気な表情で声を掛けると、アリーナは慌てて「それより」と手を振った。
「おまじないの話!」
「ああ、それね。まあ勉強する場所である学校でもさ、年頃の男女が居る場所だから恋だ何だという話にはなるものでさ。女の子は好きな人に振り向いてもらう為のおまじないをしたりするのよ」
「ふうん…、魔法の一種なの?」
「違うわね、縁起を担ぐ意味合いが強いわ。効果があるのかどうかは判らないし。でもしないよりはしたいと思うでしょ?」
「そうね」
縁起を担ぐ事は、平常心を保ち、普段以上の力を発揮させるには重要だ。
自分は戦闘に出る前、必ず革手袋をはめ直す。そうすれば何時も通り戦える気がするし、それをしなければ上手く戦えなかったのはそのせいだと思ってしまう。
アリーナが頷くとマーニャは小声で囁いた。
「教えてあげようか?」
「どんなおまじないを?」
マーニャはニッと笑う。
「好きな人に告白される『恋のおまじない』とか、どう?」
「知りたい!」
恋する乙女は瞳を輝かせた。

koi no omajinai

「よし、出発するぞ!」
勇者ぺヴァルの号令でパトリシアは馬車を引き始める。
馬車の左手を守るクリフトが周囲に目を配りながら歩き始めると馬車の後方を守るアリーナはそっとその背を窺った。

『良い、アリーナ?先ずは好きな人の影を踏むのよ』

マーニャの言葉を思い出し、アリーナはゴクリと喉を鳴らす。
クリフトの影は彼の背後に伸びている。
アリーナは素早く近づいた。
よし、行ける!
アリーナが影を踏もうとした瞬間。
「ちょっとごめん!馬を止める!…なあ、クリフト」
地図を見ていたぺヴァルは手綱を引いて馬車を止めると、クリフトに向かって手招きをする。
「何です?」
クリフトは駆け足でぺヴァルに近づくと地図を覗き込んだ。
「お前、此処の道を行けば良いって言ってたけどさ、先を見ると意外と深い森が右手にあるんだよ」
「そうですね…、危険かも知れない」
「だろ?急がば回れ、かな?」
「ですね」
話し込む男達の背後でアリーナはぎりりと歯軋りをする。
あと少しだったのに!
「…よし、今の話をトルネコさんに相談してくる」
ぺヴァルが御者台から幌の中に入るのを見送ったクリフトはくるりと振り返ると眉を顰めた。
「…?」
自分の持ち場にアリーナが居る。
王女は後方の警護を担当している筈だ。どうしてそんな所に居る?
「姫様、如何なさいました?」
クリフトの声でアリーナは我に返る。
クリフトは王女が自分の持ち場に居る事に気付き、不審がっている。
「え、ええと…、きょ、今日は何処まで行くんだっけ?」
アリーナの問いにクリフトは更に眉を顰めた。
「朝確認しましたよね?予定通りなら夕刻に着く宿場町までです。…ひょっとして、御加減でも優れないのですか?ライアンさんと交代なさいますか?」
アリーナは慌てて両手を振る。
「大丈夫!」
そして持ち場である馬車の背後へと戻る為に駆けた。
「…そうですか」
納得はしていないという顔をしたまま、クリフトは頷くと再び哨戒に戻る。
アリーナは馬車の後ろに戻ると小さく息を吐いた。

「…アリーナ、手こずっているわね?」
馬車の幌を上げ、マーニャがアリーナに声を掛けるとアリーナはムスッとした顔を返す。
「上手くいかないわ」
「恋が簡単に叶うと思う?」
「それもそうね」
気を取り直し、アリーナはこそっと馬車の影からクリフトの背を見つめた。
今度はもっと用心しないと。
再びそっと近づくアリーナだが、残り二、三歩の所でクリフトはくるりと振り返る。
「…姫様」
クリフトは腕組みをしながら低い声を出した。
「一体何の御用件でしょう?」
理由には思い当たらないものの、アリーナの行動を不審なものを感じているクリフトは、予想通り再びまた自分に近づいてきたアリーナを観察するように鋭く見つめる。
「えーと、んー、用は無いかな」
目を合わせたら、此方の思惑に気付かれてしまうような気がしたアリーナは、視線を地面に落とすと目を丸くし、息を飲んだ。
「…!」
自分の足がクリフトの影を踏んでいる。
思わず嬉々とした顔を上げたアリーナは訝しむクリフトと目が合った。
「…どうかしましたか?」
「え!…べ、別に」
アリーナは表情を取り繕いながら考える。
ええと、影を踏んだらどうするんだっけ?!アリーナはマーニャの言葉の続きを思い出すと硬直した。

『上手く影を踏んだら、影を踏んだまま「私の事を好きになって」と云うのよ』


・・・「恋のおまじない 後編」へ続きます。

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阿月さくら

Author:阿月さくら
ドラクエ4のサントハイムを中心とした二次小説を書いています。
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