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ドラゴンクエスト4のクリフト×アリーナ(クリアリ)を中心とした二次創作サイトです。
4 愛している
「報告します、教父様」
サントハイム城玉座の間。
座すサントハイム王ルシオの傍に立つ教父パリスは、真っ青な表情で跪く神騎兵を見下ろした。
「控えの間に御集りになっていらした貴族院の皆様や神教会の重鎮様方、城内警護の殆どの神騎兵達は既に…」
神騎兵は言い淀む。
「良く分からないのですが…、その輩が持つ黒い宝玉に吸い込まれたかのように消え失せました」
「…来たか」
魔法の詠唱の声や剣戟、恐怖の叫び声がどんどん近くなる。
王はちらりと教父に目配せをする。教父は頷くと神騎兵に命じた。
「エンドールに伝令を」
「は、はい!」
退出する神騎兵を見送った後、パリスはルシオの傍にしゃがみ込んだ。その顔は蒼白、指は小刻みに震えている。
解っていてもやはり恐怖は隠せないか。それでも教父の務めを必死に果たそうとするパリスの青髪を一房掬うとルシオは苦笑した。
「御苦労様、教父パリス」
パリスはちらりと瞳を上げた。
「…一つ伺っても宜しいでしょうか?」
「時間が無い、手短かにな」
そう言いながらも優雅な所作でルシオは玉座の肘掛けに肘をつく。
「何故本日、国の要である貴族院や神教会の者達を集めたのです?」
今日だと判っていたなら、彼等を集めない方が良かったのでは?
「心有る忠臣や教会を持つ神父や伴うシスター達は遺してある、彼等が居ればサントハイムは何とかギリギリで機能する。城住まいでは無い、俺やアリーナに何かしらの不満がある奴は態々今日此処に集めた。あいつ等が国に残れば、アリーナの邪魔になる事をしでかさないからな」
「…なるほど」
「…他に質問は?」
「ありません。ですが、ひと言、申し上げたい事が」
最後になるかも知れないから。その言葉は胸に秘め、パリスは立ち上がる。
「ルシオ様、私が心より信頼する友人。私は…」
一瞬躊躇う素振りを見せたものの、パリスはしっかりとルシオと瞳を合わせた。
「貴方無しの人生なんて考えられない位、私は貴方を愛していますよ」
この方は己の心に寄り添う存在なら自分で無くても良いのかも知れない。
今は自分しか居ないから、失う事を恐れているだけなのかも知れない。
だけど伝えておきたい。
私は違う、私には貴方にしか抱いていない感情がある。
男女や兄弟の情愛に近く、そして全く異なるこの感情に名を付ける事は出来ないけれど。
「愛していますから」
この言葉が一番的確な表現である事は間違いない。
「…パリス、お前」
微笑みながら繰り返される言葉がルシオの心に染み渡る。
嗚呼、そうか。俺はそう言って欲しかったんだ。
俺がこいつを必要としているように、俺もこいつに必要とされていると。
パリスはじっと見つめ返すルシオから逃げる様に瞳を逸らし、ぶっきら棒に言い放った。
「この前、貴方が!私を奪われる事が一番怖いと言葉にして下さったから!だ、…だから、お返しです。私も本心を貴方に申し上げました」
パリスは小さな声で付け加える。
「もう二度と口にする機会も無いでしょうから、しっかり覚えておいて下さいね」
「……ああ」
全てを知りながら、その恐怖を抑え込み、笑みを浮かべて見せる。
知恵と正義を持ち合わせ、己を律する事も出来る勇敢さを持つ男。
あらゆる面で尊敬出来る男だ、顔姿は女のようだが。
「忘れろと言われても、忘れやしないさ」
俺を必要とするその台詞を、俺はきっと何度も思い出し、己を叱咤激励するのだろう。
大丈夫、俺は絶望などしない。俺は必ずお前のその心に報いる。
必ず、サントハイムを守り抜いた未来へお前達を導いてみせる。
だから、お前も俺が贈るこの言葉を胸に耐えていて欲しい。
何があろうと、信じて待っていて欲しい。
「パリス、俺の全てを受け入れてくれる友。…俺もお前を愛しているよ」
「……え」
驚いたように瞳を大きくするパリスを引き寄せ、抱き締める。
「忘れるな、パリス。俺の本心を忘れるな」
「ルシオ様……」
パリスは暫しの間、身体を硬直させていたが、震える指をルシオの腕に添えた。応えるようにルシオは抱き締める腕に力を込める。
「安心したよ。…聞けて良かった。俺達は互いに同じ感情を向けているんだな」
同じ。自分の抱く感情と同じものをルシオも抱いていた。
私達は互いに代えの利かない存在であったのだ。
思いもしなかった、こんなにも長く一緒に居たくせに言葉にしなければまだ互いに判らない事が存在するなんて。
「ルシオ様っ…!すみません、不覚にも泣きそうです……!」
既に泣き出しそうな声を絞り出しているパリスにルシオはくすりと笑い声を上げた。
「こんな時はお前が男で良かったと思うな、抱き潰してしまう心配が要らない」
「……その台詞、今仰る必要ありました?」
パリスは額をルシオの肩に置くと苦笑し、
「台無しです、感動の涙が引っ込んでしまいましたよ」
目尻の涙を拭うと何時もの調子でルシオの身体を引き剥がす。
「それは悪かったな。じゃあ、また今度仕切りなおすよ。全てが終った後に必ずな」
これは今生の別れでは無いのだから、涙等要らない。
「ええ、約束ですよ」
笑うルシオの姿を胸に刻み込むように見つめた後、パリスは微笑み頷いた。
「次にお会いした時はその約束が果たされるまで、お側を離れませんからね。覚悟しておいて下さいよ」
「離れないって…、お前に言われると何だか怖いな。…でも」
ルシオは瞳を細める。
大丈夫、約束が果たされる時は来る。
「……約束だ」
必ず、また。
笑顔で再会するのだから。


・・・5 唯一人の為

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プロフィール

阿月さくら

Author:阿月さくら
ドラクエ4のサントハイムを中心とした二次小説を書いています。
SINCE.08/03/05

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