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ドラゴンクエスト4のクリフト×アリーナ(クリアリ)を中心とした二次創作サイトです。
5 赤い瞳との再会
「派手にやられたな…」
魔物に荒らされたサントハイム城に暫し茫然としたルシオ達だったが、直ぐに片付けに取り掛かり始めた。

慌ただしい作業の中でも楽しそうな喧騒が小さく聴こえてくる玉座の間。
サントハイムの聖十字の紋章の下で座するサントハイム王ルシオは、教父パリス唯一人を呼び、魔王に囚われてからの話をしていた。
目の前でパリスの偽者が殺されて無様に動揺した話は、この先も絶対にしないと心に誓いながら。
それと、もう一つ。エルフの娘に犠牲となれと語った所も伏せた。
聖職者相手に語れば、懺悔となる。それでこの罪を清算する気にはなれなかったから。
「ルシオ様…、御苦労をなさったのですね」
絶句したまま聞いていたパリスの感想にルシオは怠そうに頷いた。
「まあ、お前よりは、な」
途端にパリスの瞳が吊り上がる。
「何ですか、その言い方!デスピサロに啖呵切ったり、私だってそれなりに……」
煩い。眠いし。喚くパリスから逃げるようにルシオは瞳を閉じた。

「……王」
誰だ?ルシオは重い瞼を抉じ開ける。
「サントハイムの予言王様」
エルフの娘の呼掛ける声である事に気付いたルシオは笑みを浮かべた。
「お前か」
深い森の中。何時か見たエルフの娘シンシアは木漏れ日の中で佇んでいる。
舞っている小鳥がエルフの肩で羽根を休めるとシンシアは赤い瞳を細めた。
「無事だったんだな」
「ええ。貴方様の御蔭です」
シンシアは肩の鳥の喉を擽る。小鳥は安心したように鳴いた後、再び飛び立つ。ルシオは手を伸ばしたが、鳥はその手をすり抜け、近くの小枝へと降り立った。
「礼を言われる筋合いは無い、俺は罪深き人間だ。俺は我が身可愛さに勇者の大切な者達の命を見棄てた」
「…彼はきっと感謝の言葉を述べるでしょう」
「どうかな。だが、罵られるのは覚悟している、裏切り者の王、とね」
「予言王様。彼を見縊ってもらっては困ります、彼は『本物』です」
シンシアは悪戯っぽい笑顔で歌う様に言葉を紡いだ。
「この広い世界を救った勇者様は、私が愛している彼は、そんな狭い視野しか持たない弱い人ではありませんよ」

「…愛している、か」
そう言いながら夢から醒めたルシオは瞳を開いた。
「は?…『愛している』?」
まずい、こいつの話の途中だった。きょとんとしているパリスから瞳を逸らしたルシオは誤魔化すように咳払いをした後、小声で理由を述べた。
「あ~…、その、寝てた」
「ね…、寝てた、って。私の話を聞いて…?」
パリスは顔を引き攣らせ、こめかみに青筋を立てて睨んでいる。
「何の話だったっけ?最初から聴くから」
「もう良いですよっ!」
「機嫌直せよ」
無言のまま、プイとそっぽを向くパリスにルシオは苦笑する。そして、漸く自分が大切にしてきた日常を取り戻した事を実感した。
予知夢の能力を疎ましく思ってきたが、この日常を手にする為に必要だったとしたら。
感謝してもし切れない。
「…愛しているよ、パリス」
「え?…えっ!…ずるいですよ、今そんな事を仰るなんて」
「お前は?俺とは違う?」
微笑んでいるルシオを見返し、どうしたものかとパリスは思案する。が、ルシオの肩に触れて微笑んだ。
「貴方無しの人生なんて考えられない位、私も愛してい…」

「サントハイム王、御報告致します!」

「ます……、えっ!!」
跪く物見の神騎兵の気配を背に感じたパリスは慌てて弁解する。
「も、勿論、『友人として』ですよっ!だ、だ、男女のそれとは違いますからっ!」
妙な言い訳をするパリスが可笑しくて仕方ない。笑いを堪えるルシオに「笑い事では無いですよっ!」とパリスは小声で注意し、睨んだ。
「お、御二人の仲は良く存じております、教父様」
「だ、だから…!」
絶対誤解している神騎兵の言葉に焦るパリスへルシオが声を掛けた。
「吃るなよ、教父パリス。……また疑惑が深まる」
「…ぎ、疑惑っ!」
「あー、疑惑でも無いか?俺達は相思相愛、だしな?」
ニヤニヤしながら余計な事を言うルシオにパリスは青褪め、振り返り、物見兵を睨む。
「解っていますよね…、あなたは如何すればいいのか。今のは他言無用です」
「あ…、は、はい。勿論です、教父パリス様」
剣呑な顔をしながらこの上ない圧力を掛けてくる上司に怯んだものの、物見兵はきちんと仕事をこなして見せた。
「御報告致します!謎の飛行物体が此方へ近づいております!」
「…来たか」
王は立ち上がると王のみ纏う事を許される外套を背に払った。
「王よ、御命令を」
頭を下げ、教父と物見兵は勅令を待つ。サントハイム王サント三十一世は紅蓮の瞳を細めた。
「物見兵、迎撃する必要は無いと部隊長に告げよ。教父パリス、城の者達に号令を。アリーナ達が帰って来たと伝えるのだ」


・・・6 自由とチカラ

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プロフィール

阿月さくら

Author:阿月さくら
ドラクエ4のサントハイムを中心とした二次小説を書いています。
SINCE.08/03/05

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