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ドラゴンクエスト4のクリフト×アリーナ(クリアリ)を中心とした二次創作サイトです。
7 お前は正しい
「サントハイム王……お初に御目に掛かります」
遠慮がちにルシオの前に立つ青年の声で、王は表情を引き締め、凝視する。
夢で垣間見た、翠髪の美しき青年の姿が其処にあった。
「勇者、だな」
「……はい」
勇者ペヴァル。ルシオは息を吐いた。立派な体躯と秀でた魔力を持つその姿は、夢で視た時よりも更に芳しくなっている。
「アリーナ達が世話になった。サントハイムの囚われた人々を守る為とは言え…そなたの村を予言し、魔物共に教えたのはこの俺……そなたには罪を償う義務がある」
アリーナは不安そうに父王とぺヴァルの顔を交互に見る。ぺヴァルは安心させるように小さくアリーナに微笑んだ後、王の紅の瞳をじっと見返した。
「村の人達は亡くなりましたが……貴方のお陰で俺は生き延び、姫達と出会って共に戦う事が出来たのです。皆解っています、本当に魔族に加担するのなら第一の勇者は偽者だと予言する筈。……貴方は貴方で戦っていた。そして、俺達を導いてくれた。こちらこそ、辛い思いをさせてしまいました」
ルシオは瞳を閉じると独り言のように呟く。
「強いのだな……」
……嗚呼、エルフの娘よ。
そして、瞼の裏で微笑む可憐なエルフの娘に心の中で話し掛けた。
お前は正しい。お前が愛し命を懸けたこの男は、本物だ。
お前の犠牲と支えた仲間と無慈悲な世界が、この男を『この世界に唯一人存在する異端者』から『この世界に唯一人存在する本物の勇者』へと変えた。
王は隠れ里の森で待つシンシアの事を伝えるべく口を開いたが、そのまま何も言わず口を噤む。
「……行くが良い、勇者よ」

五人の仲間達に大きく手を振り続ける三人の後ろ姿をルシオはじっと見つめる。
勇者には何も言わなかった。心の支えとなった仲間達と別れ、勇者は孤独の中、あの廃墟となった故郷へと戻るのだろう。
其処で待つ『奇跡』を知らないままに。
「…写し身……か。全く……心の強いエルフだ。……いや」
ルシオは微笑を交わすアリーナとクリフトの姿に目を細める。
「強いのはその愛、か。本当にやってのけるとは」
「ルシオ様、何の話です?」
柔らかな口調で尋ねる永遠の友にルシオは微笑んだ。
「……奇跡を起こす魔法の話……さ」
だが、『奇跡』はただ待っていても起きる事などない。
『不可能』の中で足掻き『可能』とし、なるべくしてなった『偶然』の先に『奇跡』がある。
歩んだ『軌跡』は、『奇跡』を誘う。
善行を積んだ者に対する神様のお導き、として。
ルシオは空を見上げた。何処までも広がる青色の中に勇者達を乗せた気球が一つ。その小さな存在を見つめたまま、ルシオは満足そうに笑った。
そうだろう?
世界を見守る、竜の神様?


・・・終章・・・1 俺達の物語 

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プロフィール

阿月さくら

Author:阿月さくら
ドラクエ4のサントハイムを中心とした二次小説を書いています。
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