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ドラゴンクエスト4のクリフト×アリーナ(クリアリ)を中心とした二次創作サイトです。
ずっと昔から。 アリーナ編その3
食堂の入口から一歩足を踏み入れた所で立ち止まったアリーナは、声を掛けるべきかどうか、逡巡した。
本日の夕食の当番であるクリフトは、卓の上にクロスをかけている。
「…クリフト」
意を決し、声を掛けるとクリフトは和かな笑顔で振り返った。
「姫様、お早いですね」
クリフトの言葉に頷きながら、アリーナは調理場の方へと目を向ける。
クリフト以外の当番はぺヴァルだけの筈なのに。つまらない嫉妬心が胸を染める。
「ミネアさんとマーニャさんも一緒なんだ」
疚しいのか、クリフトはさっと目を逸らした。
「ええ…、少しお手伝いをお願いしたので」
「…私にはお願いしないのね」
意地悪な言葉。アリーナは顔を歪める。案の定クリフトは困った表情を浮かべた。
「姫様の御手を煩わせる程では無かったので」
自己嫌悪で無言となるアリーナとの時間を埋めるようにクリフトが言葉を紡ぐ。
「その…、課題は如何ですか?順調でしょうか?」
探るようなクリフトの声に頷き、アリーナは無言のまま持って来た課題を差し出した。
「…出来たわ」
クリフトは僅かに息を飲む仕草を見せた後、受け取り、すぐに目を通す。
「…後できちんと目を通しますが、及第点を出せるだけの物である事はお伝え出来るかと思います。今年度の神学の講義は終了です、良く頑張りましたね」
「…本当?!」
アリーナは嬉しさのあまり口元を押さえた。
「良かった…!」
褒めて貰えた。クリフトに認めて貰えたという事実はアリーナを安堵させた。
「お、アリーナ姫!その様子だと合格したみたいだな!」
食堂に現れたぺヴァルの言葉にアリーナは瞳を丸くする。
「知っていたの?!」
「まあね。合格祈願のお手伝いをあたし達もしていたからね」
続いて現れたマーニャのウインクにアリーナは頬を染める。
合格祈願…。どうやら三人はこの課題が今年度の神学の講義の総まとめであった事を知っていたようだ。
ぺヴァルが椅子を引き、アリーナを座らせてくれる。
クリフトはミネアに手渡された物をアリーナの前に置いた。
これは。アリーナは目を見開く。
「フルーツタルト」
「これがあったから、私も合格出来たと思っています。貴女にも合格が与えられて良かった」
クリフトが神官職の昇級試験の勉強をしている際、甘い物は疲労した頭脳に良いからと城のパティシエから聞いたアリーナは、クリフトが好きだと言っていたフルーツタルトを差し入れた事がある。
では、あの台詞は。
『ずっと昔から好きですよ。きっと他の皆さんよりも…、好きだ』
フルーツタルトの事?
「そうなんだ…、私ったら」
つまらない嫉妬等して。
「…?…如何なさいましたか?」
「…いいえ」
不思議そうに自分を見返すクリフトにアリーナは一度だけ頭を振る。
「私の課題は本試験に挑戦出来る権利を得るものだったけどね」
まだまだクリフトとは違うわ。アリーナの言葉に今度はクリフトが頭を横に振った。
「充分です。貴女は充分過ぎるほど私の期待に応えてくれた」
囁き、クリフトはそっとアリーナの頭に手を乗せる。
「貴女に仕える事が出来た私は幸せです」
「……っ」
その優しい声に心が震え、涙が溢れそうになるのをアリーナは堪える。
あなたに想いを告げた事を私はずっと後悔するのかも知れない。
別の誰かと添い遂げると誓いながら、あなたに恋い焦がれ続け、神も夫となった人も裏切る所業に走るのかも知れない。
だけど、私は。
あなたを愛した事は、決して後悔しない。

涙で滲んだ瞳を誤魔化すようにアリーナはタルトに目を向けた。
「クリフトって、昔からタルトが好きだよね」
自分に厳しい男性なのに甘い物を好む。
ともすれば揶揄われそうなその意外性がアリーナの恋心を擽る。
「ええ、好きですね」
返答を聞きながら、アリーナは胸の上でぎゅっと拳を握った。
ずっと昔から一緒に居る、私の事は…?少しも好きになれなかった?
喉まで出かかる言葉を飲み込む。
聞ける訳ない、そんな解りきった事。
「ずっと昔から好きですよ。絶対、他の誰よりもね」
クリフトが小さく笑い、反射的に目を伏せたアリーナに囁かれた声は、包み込むような優しさを纏っているようにアリーナには感じられた。


end.



以前書いた短編「タルト」の続き的なお話でした。
冒険中、レイクナバを過ぎバトランドからガーデンブルグへ向かう海上に居る頃のお話。

次回からはクリフト君側のお話に入ります。

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阿月さくら

Author:阿月さくら
ドラクエ4のサントハイムを中心とした二次小説を書いています。
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