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ドラゴンクエスト4のクリフト×アリーナ(クリアリ)を中心とした二次創作サイトです。
3 いつもしているキス?
他に方法は思いつかないが。
…何で自分は今、こんな事をしているんだ。
ルシオとパリスは互いにそんな事を思いながら向かい合っていた。
「誓いの言葉を神に申し上げ、ルシオ様はアリシア様のヴェールを後ろに上げます。アリシア様はこの時少しお辞儀をするようにして、ルシオ様が上げやすいようにして下さいね」
「はい…!」
熱心な表情で頷くアリシアに頷き返した後、パリスは気乗りしない表情でルシオを見上げた。
「右手を肩に」
「こ、こうか…?」
格好付けてるみたいで、恥ずかしいな。
パリスがしている時はサマになっていたのに。
アリシアに『パリスの時とは違う』とか言われたら、俺は今度こそ落ち込む。
「……」
ルシオは僅かに眉を顰める。
抑も口付けを交わすとか、おかしく無いか?
自分を幼い頃から知る人達の前で。神サマはそんなものを見せつけられて喜ぶものなのか?
「……」
絶対に今、どうでも良い事を考えている、この人は。パリスは瞳を眇めた。
「あとは『いつも通り』に」
「!…あ、ああ…、解った」
瞳を閉じたパリスの顔を見つめながら、黙っていたら本当に女みたいだな、と改めてルシオは思う。
中性的なパリスに女だけでなく男が夢中になるのも頷けた。
「……」
待つ身は、長い。パリスは『焦らさないで』と可愛らしく訴えて来た女性の気持ちを初めて知った。
今か、今かとドキドキしながら待つのは、楽しいが辛い。
…ん?今の相手はルシオだ、ドキドキしては拙いのでは?
顔を寄せて来るルシオの前髪が額に触れるのを感じたパリスはハッと我に返り、慌てた。
「ま…っ、真似だけですよね?!」
身の危険を感じ、思わず目を開けて訴える。
ルシオもまた我に返ると危うく新しい扉を開きかけた自分に動揺し、取り乱した声を上げた。
「あ、ああ、当たり前だろっ!」
「私は男ですからね?そ、そんな気を起こすのは間違っていますからね?!」
「そ、そんな気……、解っている!その前に誰がお前なんかとキスするかぁっ!」
「お…、お前なんかとは何です!」
今にもキスを始めそうな体勢のまま、二人は今にも殴り合いでもしそうな殺伐とした瞳で睨み合っている。
強引にいつもの調子に戻す事で、互いに新しい扉だけは何とか開けずに済んだようだ。
「あの…、これ以上は無理そうなら大丈夫よ?私、明日は頑張るから」
アリシアが恐る恐る間に入ると二人は頬を引き攣らせながら姫君に微笑んだ。
「大丈夫…!」
「そ、そう?」
戸惑いながら頷くアリシアから目を逸らし、二人は睨み合うように見つめる。
早く終わらせる。色んな意味でこの状況は危険だ。二人の利害は一致した。
「…それではルシオ様」
苛々を纏わり付かせた声のまま、パリスは説明する。
「肩に手を置いたら、心の中でゆっくり三つまで数えて下さい。『いち』で瞳を閉じながら顔を寄せる、『に』で唇を合わせる、『さん』で瞳を開きながら離れる」
行きますよ?パリスがちらりと見上げるとルシオは頷いた。
「では…『いち』」
再びパリスは瞳を閉じる。
「……『に』」
こいつは男、男…!と心の中で唱えながら唇を寄せるルシオがカウントした瞬間、扉を叩く音と共に大きく開かれた。
「アリシア様、申し上げにくいのですが、採寸がまだ終わってない箇所がありまして…、急がせますのでお時間を頂けたら」
ルシオとパリスが凍り付いたように固まる中、アリシアは「はい…!」と返事をしながら、扉の前に立つ女官長に駆け寄る。
女官長と彼女率いる女官数名が怪しい状態のまま固まっている王達を見つめている事に気付いたアリシアは、明日の練習を今更していると知られるのは良くないと感じ、「これは誰にも言わないで下さいね」と微笑んだ。
女官長はこくこくと無言のまま頷いた。
「ルシオ、また明日ね。パリス、ゆっくりして行ってね。…では、行って参ります」
さっさと出て行くアリシアを頭を下げたまま見送った女官長は、ルシオ達の方を見ると万事解っていますからと言わんばかりの笑みを浮かべ頷いた。
「ゆっくりとお過ごし下さいませ、ルシオ様、パリス様」
「………」
扉が閉められる音と共に、二人は忌々しげな表情で離れ、背を向けた。


・・・「サントハイム王と教父の苦難の七日間  4 婚礼への思い」に続きます。

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阿月さくら

Author:阿月さくら
ドラクエ4のサントハイムを中心とした二次小説を書いています。
SINCE.08/03/05

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