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ドラゴンクエスト4のクリフト×アリーナ(クリアリ)を中心とした二次創作サイトです。
きっと、あなたに恋を。 その1
「アリーナ様」
名を呼ばれるままに優しい温もりを伝える肩に目を向けた。長い指が自分の肩を滑り、首筋を経由し頬に留まる。
「好きだ」
アリーナの胸がどきりと高鳴った。
愛しい人から甘く囁かれる、欲しかった言葉に心が躍る。
「貴女の事がどうしようもなく愛しい」

I am in love.

時を遡る事、半日。
導かれし者達を乗せた船は、モンバーバラの姉妹の仇敵バルザックが棲まうサントハイム城へと向かっている。
偶に異臭がすると仲間内からも不安がられるミネアの部屋にサントハイムの神官クリフトは居た。
「…刻んで乾燥させるだけで良いのですか?」
「ええ。意外と簡単でしょ?」
「…そうですね」
クリフトは満月草を手に取って眺める。
白く丸い株が特徴的なこの草の葉は、即効性のある麻痺の治癒を期待出来る。通常は道具屋で粉末状のものを買い求めるが、自生しているものから作り出した事はない。
「お金も掛からないから、姉さんと二人で旅をしていた頃は、こうして良く手作りしたのよ。麻痺解除魔法キアリクが何時も使えるとは限らないしね」
満月草は決して安価では無い。麻痺は自然と治る為、需要が低いのだ。だが、時と場合によっては麻痺は命取りとなる。長い行軍となり、物資が不足する事態となった際には重宝する知識であろう。
「自国に戻った際は、部隊に薬学を学んだ者を伴わせる事を正式に採用しようと思います。ミネアさん、あなたと出会えた事でサントハイムは沢山の命を守る方法を得る事が出来た」
サントハイムの天才との異名をほしいままにしたこの神官も、世界は広いと息を吐いた。
旅の目的を同じくする、このキングレオ大陸出身の占術師ミネアは、薬の知識に於いてはクリフトを圧倒する。
「大袈裟ね、お国柄よ。キングレオはサントハイムのように魔法技術が発展していない。民間療法に頼らざるを得ないから、自然と薬学が進んでいるだけよ」
ミネアは謙遜するが、キングレオの民の皆が皆ミネアと同等の知識を持っているわけでは無いだろう。
マーニャと共に厳しい旅を乗り越えて来たのだ、生きる為には身に付けざるを得ない知識であったのだろう。
それに薬の調合には幾つかの器具が必要な場合が多い。父親が錬金術師だったミネアはそういった器材の心得もある。
凡ゆる条件が、ミネアを薬学の秀才に育てたに違いない。
「…じゃーん、これなーんだ?」
照れ隠しか、ミネアがはしゃいだ様子で緑の液体が入った瓶を見せる。クリフトは眉を潜めた。薬草を飲み易くした物だろうか?
「薬草…ですか?」
「うん、入ってます!」
入ってます?他にも何かを混ぜているという事か。
「…先程作った満月草も、でしょうか」
「凄い、当たりです!」
実に楽しそうなミネアにクリフトは弱り顔を見せる。
流石は姉妹、と言った所か。年がら年中お祭騒ぎな姉と違い常識的だと思われがちなミネアだが、実は彼女の方が変わり者だ。妙な場所を好むし、偶に何の脈絡も無く独り言を言う。
おまけに突如姉が乗り移ったように悪戯心を全開にしてくる。その悪戯は姉よりも悪質な事が多く、タチが悪い。
「後はこれです、毒消草」
傷を癒す薬草と解毒作用のある毒消草、そして麻痺を解除する満月草。この三つを混ぜたらしい。
「これって万能薬になると思いませんか?」
「確かに…」
怪我も毒も受けている、という状況は多い。一度で何方も回復出来るのは理想的な薬と言える。
「では早速」
そう言いながらミネアが棚から『毒牙のナイフ』を手に取ると、クリフトは慌ててその手を掴んだ。
「ちょっと、何をする気です?!」
「え?これで自分を切りつけて、怪我と麻痺の状況を作り出そうかと」
当たり前だと言わんばかりの占術師にクリフトは疑問をぶつける。
「この薬が本当に大丈夫か、判らないのですよ?先ずは通常時に少量ずつ試して…」
「基本的に状態を回復するものばかり入れたし、いざとなれば他の薬もあるし、あなたも居ます。大丈夫ですよ。多分」
「しかし…」
クリフトが再び止めるべく口を開いた時、扉が勢い良く開いた。
「あ、やっぱり此処に居た」
クリフトがミネアの腕を掴み迫っている状況に一瞬剣呑な瞳を見せたサントハイムの姫君アリーナだったが、今はそれどころでは無いと直ぐに右の脹脛を見せた。
かなり大きな傷が一直線に走っている。
「この傷口から毒を受けてしまったわ」
今アリーナと共に哨戒にある勇者は、回復魔法は使えるが解毒魔法キアリーは覚えていない。それで王女は哨戒を抜け、こちらを頼ったに違いない。
猛毒の類なのかアリーナの顔色はかなり悪い、解毒を急ぐ必要がありそうだ。
「はい、只今キアリーを…」
先ずは解毒を行うべく呪文を唱えようとしたクリフトをミネアは押し退け、唖然とするアリーナの唇に瓶の口を近づけた。
「…ミネアさん?何これ…」
「傷の治療と解毒を一度に行う薬よ」
多分。その部分は心の中で付け加えると、仲間を疑うという事を知らない無垢な姫君の喉に流し込んだ。


・・・「きっと、あなたに恋を。 その2」に続きます。

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阿月さくら

Author:阿月さくら
ドラクエ4のサントハイムを中心とした二次小説を書いています。
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